作者の長谷川義史さんが体験した実話を絵本にした「おかあちゃんがつくったる」を読んでみました。あらすじからその結末を全部紹介します。それを読んで思ったこと感じたことを綴っています。
最近「鬼ナス」の話を聞いて、なんだか母親とのつながりの大事さや自分がこれから限りある時間で母親に出来ることってなんかなと考えたりしました。同じ母親がテーマのこの絵本も気になったので読んでみました。読んだ後に色々調べてたら知ったんだけど、この話は実話だそうです。確かになんか想像とは思えない話だな~と思ってたので納得です。
<おかあちゃんがつくったるの内容>
主人公の「ぼく」は小学三年生の男の子。
お父さんが亡くなって、姉ちゃんとお母ちゃんの三人になったけど元気に暮らしていました。お母ちゃんはミシンの仕事をしていて、柔道や剣道の胴着を作っていましたた。
そんなお母さんに、ぼくは言いました。
「まさひろ君が履いてるみたいなジーパン買って」
それを聞いたお母さんは「えっジーパンなんか買わんでもお母ちゃんがミシンで作ったるわ」と、剣道の袴の切れ端でジーパンを作ってくれました。でもちょっと変な出来上がり。しかし、ぼくは学校にそれを次の日履いて行きます。
すると友達に、「なんやそれ、ジーパンのようでジーパンじゃないペンペン」と皆に笑われました。
ぼくは汗かきで体育の時間では人よりも汗をよくかいていました。するとある日、お母さんが言いました。
「体操服のメリヤスの生地が暑いねん、だからお母ちゃんが薄い生地で体操服を作ったるわ」と。
ぼくは悪い予感がした。
次の日、お母ちゃんはワイシャツのようなツルツルの生地で体操服を作ってくれました。けど、やっぱり変な出来上がりでした。ぼくは嫌だったけど体育の時間に来てみました。すると友達に「なんやそれ、サラリーマンのおっさんか。体操服のようで体操服でないペンペン」とまた皆に笑われたのでした。
ある日、友達のひろゆき君がかっこいい鞄を持ってきました。すると僕は思った。「これやったらお母ちゃんでも作れるわ」と。お母ちゃんに鞄のことを説明しました。するとお母ちゃんは「よっしゃ、お母ちゃんミシンで作ったるわ。お母ちゃん、何でも作れるねん」と張り切っていました。ぼくは今度は大丈夫なんだとワクワクしていました。
次の日起きると鞄が出来ていました。デザインはそのまま似ていました。でも、鞄の真ん中に「よしお」と大きく刺繍がありました。横にはハート柄まで縫ってありました。それにぼくは「なんでこんなん入れたん、こんなこと言ってない」と言うとお母ちゃんは、「なに言うてんねん。そっちの方がかっこええで」と言っていました。ぼくは仕方なく学校に持っていくとやっぱり友達が「なんやそれ、よしおって。お前の名前、よしふみやろ。よしふみのようでよしふみでないペンペン」とまた笑われました。
ってええええーーー!!「ぼく」の名前てっきり「よしお」かと思ったら「よしふみ」なの?!
友達のツッコミ、今度は名前大きく刺繍しててかっこわるい~とかなんでハート柄とかツッコむのかと思ってたら!びっくりしました。でも読んでいくとよしふみなのに、「よしお」と呼ばれるようになった理由が分かりました。
続き
ぼくが一年生のときにお父ちゃんが病気でなくなりました。その時に親戚が集まって「名前が良くない、よしふみはあかん。よしおにしよう」と勝手に変えられました。それ以来、お母ちゃんと姉ちゃんと親戚からは「よしお」と呼ばれるようになりました。
ある日父親参観のお知らせをお母さんに渡すと、「お母ちゃんが行ったるわ」と言いました。恥ずかしいから来なくて良いというぼくに「いったるて。お母ちゃん、お父ちゃんの代わりや」とお母ちゃんはゆずりません。
そんなお母ちゃんに、ぼくはそんなこと思ってなかったけど言いました。「ぼくも皆と同じお父ちゃんがええねん。お父ちゃんに来てほしいねん。お父ちゃん作ってえな、なんでも作れるっていうたやん。お父ちゃん作ってえな」
するとお母ちゃんは、ちょっと悲しい顔で「ごめんな、お母ちゃんのミシンでも、お父ちゃんは作られへんわ」
ご飯が砂の味になった。
次の日曜日、父親参観日の日。
今日は誰も来ないからきが楽やった。授業が始まってしばらくして後ろを見たぼくは息が止まった。
お母ちゃんが背広を来て立ってた。
(引用元:otf-webshop.com)
ぼくは体育の時間でもないのに汗が出た。お母ちゃんが笑顔でぼくの後ろにやってきて、背広の生地をひっぱって耳元で囁いた。
「ミシンで作ってん」
おかあちゃんがつくったるーおわりー
母強しって思うお話ですね~。肝っ玉母ちゃんってイメージでした。でも作者の長谷川さんがインタビューで語ってたんですが、よく肝っ玉母ちゃんと思われるけど実際のお母ちゃんの印象は大人しいらしいです。でもミシンの仕事の後も、調理師免許をとって市の職員として働いていたりとするところは、流石すごいなと思いましたね。
お父ちゃん作って、という下りで悲しい感じになったときはこれからどうなるんだろうと心配になったけど背広着てお父さんとして来て笑顔で背広も作ったと言えるお母ちゃんの強さで、お話が明るく終わったなと思います。
長谷川さんはお父さんについて描いた絵本「てんごくのおとうちゃん」も出版しています。ちかいうちこの絵本も読んでみたいなと思いました!
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