ジブリ映画「魔女の宅急便」に出てくる路面電車の行き先表示に「KUMADEN」の文字が。舞台は外国をイメージしているはずなのになぜ熊本の路面電車である熊電が登場してきたのかというと、製作中にこんなエピソードがあったからでした。この作品には、当時すでに監督作品を作っていた熊本出身で熊電大好きの渡辺浩氏が原画として参加していて、一部では氏の悪戯ではと予測されていました。しかしその前段階の作業であるレイアウトの段階ですでにこの文字は描かれていたという事です。実は渡辺浩氏の中学の後輩がジブリに在籍していて彼が描いたんです。堀川中に熊本電鉄で通ってたという熊本出身の方だったので地元愛のある遊び心だったんでしょうね。渡辺浩氏はチェックする立場だったんですけど面白いと思ったのでそのまま通した所、宮崎さんにもノーチェックで通って、作品として世に出てきたんです。
ちなみに渡辺浩氏の監督作品「強殖装甲ガイバ~(劇場版)」という作品には熊本電鉄仕様の5000系が緻密に描かれ何度も出てきます。
<熊電は今も存在するの?>
熊本電気鉄道(熊本電鉄)は、一部区間で併用軌道になっているものの、路面電車ではありません。普通のローカル線です。
そしてこの熊本電気鉄道、地元では「菊池電車」と呼ばれますが、あまり「熊電」とは呼ばないんだとか。意外ですね!一方、熊本市内の繁華街を走る有名な路面電車は”市電”(熊本市電、運営は熊本市交通局)ですが、こちらも熊電と呼ぶことはありません。
ちなみに、実際に「魔女宅」の舞台の参考になった場所としては 「スウェーデンのストックホルム、バルト海のゴトランド島ヴィスビーの町」 「宮崎自身が1988年(昭和63年)5月に個人的に旅行したアイルランド、その他サンフランシスコ、リスボン、パリ、ナポリなどの風景を織り交ぜて使っている。」 「『二度の大戦を経験しなかったヨーロッパ』という設定」なので外国がやっぱり舞台なようです。